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土用の丑の日2026年はいつ?うなぎを食べる由来は?

土用の丑の日2026 うなぎを食べる由来

「土用の丑の日」と聞くと、真っ先に思い浮かぶのは“うなぎ”。
毎年夏が近づくと「今年の土用の丑の日はいつ?」と話題になります。特に2026年の土用の丑の日をチェックして、あらかじめ予定を立てておきたいという方も多いはずです。

実は「土用の丑の日」は、単に“うなぎを食べる日”ではありません。暦の上では季節の節目にあたる重要なタイミングであり、古くから健康を祈る風習や食文化が受け継がれてきました。さらに、うなぎ以外にも「縁起のよい食べ物」や「体を労わる行事」が数多く存在するのです。

土用の丑の日2026 うなぎを食べる由来

では、2026年の土用丑の日はいつなのか?
そこから広がる伝統や食の楽しみ方を知れば、夏の過ごし方がぐっと豊かになるはずです。

2026年の土用の丑の日はいつ?

では、さっそく本題の「2026年の土用の丑の日」を確認してみましょう。

夏の土用期間とは?

「土用」とは、立春・立夏・立秋・立冬といった“季節の始まり”の直前、およそ18日間を指す言葉です。つまり一年に4回ある土用のうち、もっとも注目されるのが夏の土用。梅雨が明けて立秋を迎える直前にあたり、一年で最も暑さが厳しく体調を崩しやすい時期とされています。そのため昔から「体力をつけて夏を乗り切るための日」として大切にされてきました。

2026年の土用丑の日

2026年の夏土用期間は 7月20日(月)~8月6日(木)。
この間に巡ってくる丑の日は 1回だけで、日付は次のとおりです。

2026年7月26日(日)

この年は「二の丑」がなく、7月26日の一度きり。つまり2026年は、この一日に多くの人がうなぎを食べ、無病息災を願うことになるでしょう。

過去との比較

ちなみに昨年は、7月19日と7月31日の2回ありました。丑の日は十二支で日にちを数えるため、土用期間に1回しか巡らない年もあれば2回ある年もあります。年ごとに違うので、毎年カレンダーで確認する必要があるのです。

そもそも土用とは?|一年に4回訪れる季節の変わり目

「土用の丑の日」と聞くと、多くの人は真夏の行事をイメージします。しかし実は土用は一年に4回あることをご存じでしょうか?

二十四節気と「土用」の関係

日本の暦は、中国から伝わった「二十四節気」に基づいて作られています。これは太陽の動きを1年で24等分し、季節を細かく表現したものです。
たとえば「立春」「立夏」「立秋」「立冬」といった節目はその代表。これらは「四立(しりゅう)」と呼ばれ、四季の始まりを示しています。

そもそも土用とは?|一年に4回訪れる季節の変わり目

一方で「土用」とは、この四立の直前にあたる約18日間を指します。つまり春・夏・秋・冬のすべてに「土用期間」が存在するのです。

なぜ「土」なのか?五行説の考え方

「土用」という言葉は、中国の自然哲学「五行説」に由来します。五行説では、森羅万象を「木・火・土・金・水」の五つの要素に分類し、それぞれが季節や方角などに対応しています。

  • 春=木

  • 夏=火

  • 秋=金

  • 冬=水

このとき、どの季節にも割り振られていなかったのが「土」です。そこで「土」は季節の変わり目=次の季節を育むための準備期間を象徴するものとされ、各季節の始まり前に配置されました。これが「土用」の考え方の基盤です。

「丑の日」と掛け合わせて特別な日になる

では「丑の日」とは何でしょうか。
昔の暦では、日にちを「十二支」で数えていました。子(ね)の日、丑(うし)の日、寅(とら)の日…と12日でひと回りする仕組みです。
そのため「土用期間(約18日間)」の中に、必ず1回か2回は「丑の日」が巡ってきます。これこそが「土用の丑の日」と呼ばれる特別な日なのです。

「丑の日」と掛け合わせて特別な日になる

夏の土用が特に重要視される理由

春・秋・冬にも土用丑の日はありますが、特に夏が注目されるのは理由があります。梅雨が明けて真夏の暑さが到来する時期は、体調を崩しやすく、食欲不振や夏バテに悩まされやすい季節。
このタイミングに「栄養のあるものを食べ、体力をつけて暑さを乗り切る」という目的で行事が根付いたと考えられています。

なぜ土用の丑の日にうなぎを食べるのか?

土用の丑の日といえば「うなぎ」。しかし、なぜこの日にうなぎを食べるようになったのでしょうか。実はその由来には、古代から伝わる習慣と江戸時代の知恵、そして栄養学的な理由が複雑に絡み合っています。

奈良時代から続く「夏痩せにはうなぎ」

日本最古の歌集『万葉集』には、大伴家持(おおとものやかもち)が詠んだ歌があります。

「石麻呂に われもの申す 夏痩に良しといふものぞ 鰻取り食せ」

これは「夏痩せにはうなぎを食べるとよい」という意味の歌です。すでに1200年以上前の奈良時代から、夏の疲労回復や滋養強壮にうなぎが効果的だと信じられていたのです。

江戸時代・平賀源内のアイデア

一方、現代の「土用丑の日=うなぎ」のイメージを決定づけたのは、江戸時代の博物学者・平賀源内だといわれています。

江戸時代・平賀源内のアイデア

当時、うなぎは本来「秋から冬が旬」で、脂がのった美味しい時期に食べられていました。しかし夏場は痩せて味が落ち、売れ行きも低迷していたそうです。困ったうなぎ屋が源内に相談したところ、彼は「丑の日に“う”のつくものを食べると縁起がよい」という言い伝えを利用し、「土用の丑の日はうなぎの日」と看板を掲げることを提案。これが大ヒットして商売繁盛につながり、庶民に一気に広まったと伝えられています。

栄養学的な裏付け

うなぎは古くから「スタミナ食」として知られてきましたが、現代の栄養学的にも理にかなっています。

  • ビタミンA … 粘膜や皮膚を保護し、免疫力を高める

  • ビタミンB群 … エネルギー代謝を助け、疲労回復に効果的

  • DHA・EPA … 生活習慣病予防に役立つ不飽和脂肪酸

うなぎは古くから「スタミナ食」として知られてきました

こうした栄養成分を豊富に含むため、夏バテで食欲が落ちやすい時期にうなぎを食べるのは非常に合理的だったといえます。

語呂合わせの縁起も

また、日本人は古来から「語呂合わせ」や「縁起」を大切にしてきました。「丑の日に“う”のつくものを食べると元気になる」という民間信仰は、うなぎだけでなく“うどん”“梅干し”“瓜”などにも通じています。うなぎが定着したのは、その代表格として扱いやすかったからだと考えられます。

地域で異なるうなぎ文化|関東と関西の違い

ひと口に「うなぎの蒲焼き」といっても、実は地域によって調理法や味わいに大きな違いがあります。特に関東と関西ではその差が顕著で、食文化の背景や歴史とも深く関わっています。

開き方の違い

  • 関東(背開き)
    江戸時代、武士が多かった関東では「腹を切る=切腹」を連想させるとして嫌われたため、背中から開くのが主流になりました。

  • 関西(腹開き)
    一方、商人文化が根付いていた関西では「腹を割って話す」ことが好意的に捉えられていたため、お腹から開く調理法が一般的となりました。

調理法の違い

  • 関東(蒸してから焼く)
    関東のうなぎは、開いた後に一度蒸して余分な脂を落としてからタレをつけて焼き上げます。そのため身はふっくらと柔らかく、口当たりが軽やかです。

  • 関西(蒸さずに直焼き)
    関西では蒸さずにそのまま焼き上げるため、皮は香ばしくパリッと仕上がり、噛みごたえのある食感を楽しめます。

頭を落とすタイミング

  • 関東:焼く前に頭を落とす

  • 関西:焼いた後に頭を落とす

細かな工程にも違いがあり、それぞれの地域で独自の伝統が育まれてきました。

味わいの違いを楽しむ

関東の「ふっくらやわらか食感」と、関西の「香ばしく力強い味わい」。どちらも甲乙つけがたい魅力があり、実際に食べ比べてみるとその違いがよく分かります。なお、両者の文化が交わる静岡県浜松周辺では、関東風・関西風どちらの蒲焼きも味わえるのだとか。

「土用の丑の日」にうなぎを食べる際、もし旅行や取り寄せの機会があれば、ぜひ関東風と関西風を食べ比べてみるのも一興です。

うなぎ以外にもある!縁起の良い「土用の食べ物」

土用の丑の日といえば「うなぎ」が定番ですが、実は昔からうなぎ以外の食べ物も縁起を担ぐものとして食べられてきました。ここでは代表的な行事食や風習をご紹介します。

「う」のつく食べ物

「丑の日に“う”のつくものを食べると元気になる」という民間信仰があり、うなぎ以外にも以下の食材が親しまれてきました。

  • うどん:米より消化吸収が良く、夏バテで弱った胃腸にやさしい。

  • 梅干し:クエン酸が疲労回復に役立ち、食欲増進効果も。

  • 瓜(きゅうり・すいか・冬瓜など):水分・カリウムが豊富で、体の熱を冷まし、むくみ解消にも効果的。

  • 牛肉・馬肉:高たんぱく質でスタミナ補給に最適。特に馬肉はグリコーゲンを多く含み、疲労回復を助けるとされます。

これらの食材は、いずれも「夏の体調を整える」という実利的な意味合いが込められているのが特徴です。

黒い食べ物

土用の丑の日は「土」「丑」から連想される黒色と結びつけられ、黒い食べ物を食べると縁起がよいともいわれています。

  • 土用しじみ:夏に旬を迎えるしじみは栄養価が高く「土用しじみは腹薬」と呼ばれるほど。

  • 黒豆・黒ごま・黒きくらげ:古来より滋養強壮や厄除けの効果が信じられてきました。

  • なす・ひじき・海苔・ごぼう:いずれも体を整える食材として夏に好まれてきました。

土用卵・土用餅

  • 土用卵:土用の時期に産まれた卵は特に栄養が高いとされ、完全栄養食として珍重されました。うなぎと卵を合わせた「う巻き」は、土用の丑の日にぴったりの一品です。

  • 土用餅:小豆入りの餅で、小豆の赤色には厄除けの力があると信じられてきました。「餅を食べて力をつけ、夏を乗り切る」という願いが込められています。


うなぎを食べる習慣が広まったのは江戸時代ですが、実際にはこれら多様な「土用の食べ物」がありました。2026年の土用丑の日も、うなぎだけでなくこうした食材を組み合わせれば、より健康的で楽しい一日を過ごせるでしょう。

土用の風習|食べ物以外の過ごし方

土用の丑の日は「うなぎを食べる日」という印象が強いですが、実は古くから食以外の風習や行事も大切にされてきました。先人たちは、季節の変わり目を安全に過ごすためにさまざまな知恵を取り入れてきたのです。

衣服や本を守る「虫干し」

夏の土用は梅雨明けの時期に重なるため、湿気で傷みやすい衣服や本を風に当てる「虫干し」が行われてきました。
直射日光を避けつつ、風通しの良い場所で陰干しすることで、カビや害虫を防ぎ、長持ちさせる生活の知恵です。現代でも、押し入れや本棚を整理する“防虫・除湿週間”として取り入れるとよいでしょう。

心身を清める「丑湯(うしゆ)」

丑の日には、薬草を入れたお風呂に入る「丑湯」という習慣もありました。桃の葉やよもぎ、どくだみなどを湯に入れて浸かることで、暑気払いをし、病を遠ざけるとされたのです。
現代風にアレンジすれば、バスソルトやハーブ入浴剤を使った「夏のリフレッシュバスタイム」として楽しむことができます。

厄を封じる「うり封じ・きゅうり加持」

江戸時代から伝わる行事に「うり封じ」「きゅうり加持」があります。瓜やきゅうりに自分の名前や経文を書き込み、病気や厄を封じ込める祈祷を行うというものです。瓜に“身代わり”となってもらうことで、心身の安泰を願いました。

神事に参加して無病息災を祈る

京都の下鴨神社では「みたらし祭(足つけ神事)」が夏の土用丑の日に行われます。みたらし池に足を浸すことで、罪やけがれを祓い、無病息災を祈る伝統行事です。
こうした地域の祭りや神事も、土用丑の日を特別な日として過ごす方法のひとつといえます。


このように、土用の丑の日は「体を労わる」「災いを避ける」ための知恵や信仰が色濃く残っています。2026年の丑の日も、うなぎを味わうだけでなく、こうした風習を取り入れてみるのもおすすめです。

2026年におすすめ!うなぎの食べ方・レシピ

せっかくの土用の丑の日、うなぎをもっとおいしく、そして楽しく味わいたい――そんな方に向けて、家庭でもできるアレンジや定番レシピをご紹介します。

市販うなぎをふっくら仕上げるコツ

スーパーや通販で購入するうなぎの蒲焼きは、そのまま温めると固くなりがちです。
おすすめの方法は、フライパンで酒をふりかけて軽く蒸し焼きにすること。余分な臭みが抜け、身がふっくら柔らかく仕上がります。電子レンジより一手間かけるだけで、専門店のような味わいに近づけます。

王道の「うな丼・うな重」

やはり定番は、タレをまとったうなぎを白ご飯にのせる「うな丼」や「うな重」。タレは醤油・みりん・砂糖を煮詰めて自家製すると、より奥深い味になります。好みで山椒を振れば、香りと爽やかな辛みが食欲を引き立てます。

さっぱり味が魅力「鰻ざく」

三重県などで親しまれる郷土料理「鰻ざく(うざく)」は、蒲焼きのうなぎをきゅうりの酢の物と合わせた一品。香味野菜やポン酢で仕上げれば、脂ののったうなぎもさっぱりいただけます。夏バテ気味で重たいものを避けたいときにぴったりです。

華やかな「うなぎのちらし寿司」

お祝い事や家族の集まりには「うなぎのちらし寿司」がおすすめ。酢飯に刻んだ蒲焼きと大葉・みょうがを混ぜ込み、錦糸卵を飾れば、見た目も華やかで食欲をそそります。土用卵を使えば、さらに縁起の良い一品になります。

卵と合わせる「う巻き」

関西で人気の「う巻き」は、うなぎを芯にして卵焼きで包んだ料理。卵の甘みとタレの香ばしさが絶妙に合い、酒の肴としても人気です。栄養価も高く、子どもから大人まで楽しめます。


このように、うなぎは蒲焼きだけでなく、さまざまな食べ方で楽しむことができます。2026年の土用の丑の日は、一手間加えて「家庭ならではのうなぎ料理」に挑戦してみてはいかがでしょうか。

まとめ|2026年の土用丑の日を楽しむために

2026年の夏の土用丑の日は 7月26日(日) の1回だけです。
夏土用の期間は 7月20日(月)~8月6日(木) で、この間に巡ってくる丑の日はこの日のみ。つまり2026年は「一の丑」しかなく、「二の丑」はありません。

本記事で押さえておきたいポイントは次のとおりです。

  • 土用とは?
    四季の節目(立春・立夏・立秋・立冬)の直前約18日間を指し、体調を崩しやすい時期に静かに過ごすための知恵が込められている。

  • 丑の日とは?
    十二支で日にちを数えていた名残。土用期間にあたる丑の日が「土用の丑の日」とされる。

  • なぜうなぎ?
    奈良時代から「夏痩せに効く」と伝えられ、江戸時代には平賀源内のアイデアで広く定着。栄養学的にも疲労回復に役立つ。

  • うなぎ以外の縁起食
    「う」のつく食べ物(うどん・梅干し・瓜・牛肉など)や「黒い食べ物(しじみ・黒豆・なすなど)」も夏を元気に乗り切る行事食とされている。

  • 食以外の風習
    虫干しや丑湯、瓜を使った厄除け、神社の祭りなど、生活や健康を守る風習も多い。

2026年の土用丑の日は1回限り。だからこそ、この日をきっかけに「うなぎを味わう」だけでなく、縁起の良い食べ物や伝統的な風習を取り入れて、夏を健やかに過ごす準備をしてみてはいかがでしょうか。

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