節分で鰯の頭を玄関に置く理由と由来~日本の伝統と風習に触れてみよう~
節分と鰯の由来
節分と言えば、豆まきや神社で行われる節分祭や餅まき、
そして近年では恵方巻きと、さまざまな行事を思い起こさせます。
特にここ数年で全国に広まったのが恵方巻き!
節分=恵方巻きという、
本来の意味から遠く離れた感じで受け取っている人も多そうです^^;
本来節分とは、
二十四節季の季節の変わり目の前日を指します。
立春・立夏・立秋・立冬の前日を節分というわけですね。
今では節分=2月4日(立春)の前日=2月3日という認識になっています。
季節の変わり目には邪気が出るから大豆を使って豆をまき、
邪気=鬼を払うというのが本来の節分の意味です。
昔の人は邪気や悪霊の存在を信じ、
それを払うということを真剣に行っていたというのが良くわかります。
その悪霊払いの風習の一つが
「ヒイラギとイワシを玄関に置いておく」という風習です。
節分に使うイワシの頭の意味は?
今ではあまり見かけることがなくなりましたが、
節分には「柊鰯(ヒイラギイワシ)」と呼ばれるものを玄関に飾り、
厄除けにするという風習がありました。
柊鰯は、イワシの頭だけを柊の枝に刺したもの。
イワシの頭の部分を焼いて柊の枝にさし、
それを家の戸に取り付けて邪気を払い、鬼除けとしていました。
なんで柊とイワシなのかというと、
昔から厄除けには「とがったもの」「臭いのきついもの」が用いられてきたから。
また、焼いたイワシの頭の臭いで近づけず、
近寄って行ったらヒイラギのとげで傷つくから鬼が近寄らない、
というのが鬼を近づけないと言われる理由です。
ヒイラギの葉は手が切れてしまうほど先端がするどいですし、
イワシの頭を焼くとすごい煙とにおいが出ます。
『確かに鬼もこれでは近づけないかも・・・』
しかし、今はこの柊鰯を外に飾るのは難しいですね。
特にマンションの扉に柊鰯を飾ったら苦情が来てしまいそうです^^;
なので、家の中に飾ったり、節分にイワシ料理を食べたりと、
住環境の変化とともにその風習も形を変えつつあります。
ちなみに昔から西日本では節分にイワシを食べる風習があります。
イワシは昔から厄除けの象徴のように扱われていたようです。
実はイワシじゃなくていい?
このヒイラギイワシの風習が行われるようになったのは近世以降です。
今のところ最も古くこの風習が書かれている文献は
「土佐日記」だと言われています。
その中に書かれているのは、
節分など関係なく「しめ縄にヒイラギの枝となよし(ボラ)を刺したものを飾った」
とあり、古くはイワシではなかったことをうかがわせます。
どんな経緯でイワシになったのかは不明ですが、
共通しているのはとがっている柊の枝を使用したということと、
魚の頭を利用した、ということ。
尖った物と臭いのきついものが昔から厄除けとして用いられていた、
という話と一致しています。
形は違えど、昔からの厄除けの心を受け継いでいるということですね。
ちなみに
今でも地方いよってはニンニクやラッキョウなどを用いることもあります。
昔の人は厄除けや鬼やらいといった行事を大切にしていたんですね。
今ではお祭り的な雰囲気になっている行事もありますが、
昔の人の心も大切にしたいもの。
邪気を払う、という本来の意味を知ることも大切な気がしています。
ヒイラギイワシはなかなか飾ることが難しいので、
節分にイワシを食べてみるなどして立春を迎えてみる・・・
なんてしてみてはいかがでしょうか?
四季を意識するというのは日本人の美徳だと思います。
昔の人の美徳を受け継いでいきましょう。
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